公開日 2022年7月1日 最終更新日 2023年12月15日
知れば知るほど面白いテクニカル分析!
略して「知るおもテクニカル!」
今回はテクニカル指標の「ボリンジャーバンド」を紹介します。
ボリンジャーバンドは世界で移動平均線の次に使われている大人気の指標です。
世界で人気のテクニカル指標ということは、たくさんの人がボリンジャーバンドをもとにトレードをしている、ということです。
たしかに。
ボリンジャーバンドって移動平均線とは違って、常にチャート上にクネクネした線が出ていますよね。
このクネクネ線が相場の今の状態やトレンドの発生、売りサイン買いサインの出現を示してくれています。
ボリンジャーバンドの仕組みを理解すると、相場のこれからの動きも目に見えてきます。
「ボリンジャーバンド」は世界中の人が使っている大人気の指標!
その仕組みにせまってみましょう!
目次(クリックすると好きなところから読めます)
ボリンジャーバンド
トレンド分析のツールとして知られているボリンジャーバンド。
ボリンジャーバンドは移動平均線と標準偏差で構成されており、移動平均線を表す線と、その上下に位置する値動きの幅を示す線(バンド)によって投資判断を行っていきます。
「価格の大半がこのバンドの中に収まる」という統計学を応用した指標です。
バンドの幅や傾き
ボリンジャーバンドはローソク足のチャート上に通常5本のラインが描かれます。
ラインは上から、プラス2σ(シグマ)、プラス1σ、移動平均線(20日単純移動平均線)、-1σ、-2σとなります。
この5本のラインで構成されるバンドの幅や傾き、収縮で相場のトレンドや強さを判断していくわけです。
さらに、プラスマイナス3σが出され、7本のラインで構成されるケースもあります。
前提として、価格がボリンジャーバンドの±1σの範囲内に収まる確率は68.3、%±2σの範囲に収まる確率は約95.4%、±3σの範囲に収まる確率が約99.7%とされています。
プラス・マイナス2σを超える株価は異常値
チャートは常に上下の動きを続けています。
トレンドを形成することもあれば、レンジ相場が続くこともあり、価格の高騰や暴落で激しく動く場合もあります。
通常は一定幅のバンド内で上下動を繰り返し、これをはみ出してもいずれ元のバンド内に戻っていくのです。
前述したように、価格がプラス・マイナス2σの範囲内でおさまる確率は約95.4%ですので、これを超えるのはかなりのレアケースで、ある種異常値といえます。
車の運転に例えるなら、居眠り運転などで車線をはみ出している状況です。
このような運転は決してあってはなりません。
車線を大きく超えるのは高速道路を降りる時だけですね。
ボリンジャーバンドの計算式
ボリンジャーバンドの計算式を見てみましょう。
まずは標準偏差の計算式です。
標準偏差とありますが、この標準偏差とはなにを指しているのでしょうか?
標準偏差は、平均値からの散らばり具合(ばらつき)を表す指標の一つです。
ボリンジャーバンドの計算式は上記の標準偏差を元に計算してきます。
± 1σ=n日移動平均±n日の標準偏差
± 2σ=n日の移動平均±n日の標準偏差×2
± 3σ=n日の移動平均± n日の標準偏差×3
偏差値ということばは、高校や大学受験のときによく聞くことばですよね。
偏差値は、平均値からみてデータがどのくらいばらつきがあるかを見られます。
たとえば、100点満点の試験で平均点が50点だったとします。
最低点が40点、最高点が60点、この間にテストのすべての点数が入っていたとすると、点数のばらつきは小さいですよね。
逆に最低点が0点、最高点が100点だったら点数のばらつきは大きくなります。
点数のばらつきが小さい時は、標準偏差(シグマ)が小さい、ばらつきが大きい場合は標準偏差(シグマ)が大きいということになります。
ボリンジャーバンドは価格変動の中で現在の価格がどれぐらい高いのかを、偏差値で表したもの。
ボリンジャーバンドの本質は、過去20日間の価格変動が大きいのか小さいのかに注目している指標と言えます。
価格がボリンジャーバンド内におさまる確率はこのようになっています。
ボリンジャーバンドの±2σ2の範囲に収まる確率95.4%
ボリンジャーバンドの±3σの範囲治る確率99.7%
ちなみに計算式は上の通りですが、難しく考えることはありませんし、もちろん計算する必要もありません。
今ではネット証券の情報ツールで簡単に共有することができます。
どのくらいの期間の移動平均の数値を使うかは、短期売買や中期投資など投資スタイルによっても異なりますが、日足であれば5日や25日など、できるだけ多くの投資家が見ていると思われる値がいいでしょう。
この数値の設定も情報ツールで選択したり、打ち込んだりするだけでOK。
瞬時にパソコンやスマホの画面に表示されるはずです。
ほかのオシレーター系やトレンド系のテクニカル分析とは異なり、ボリンジャーバンドは順張りにも逆張りにも活用することができます。
大変便利なテクニカル分析で、非常に多くの投資家が活用しています。
では実際の使い方とポイントを解説していきましょう。
相場のトレンドに乗る順張り型
ボラティリティ・ブレイクアウト
まず「ボラティリティ・ブレイクアウト」といわれている、順張り型の使い方を解説していきましょう。
代表的なケースとしては、保ち合い相場から脱したタイミングで売買する方法です。
ボリンジャーバンドは、相場の動きがとぼしい時はバンドの幅が狭まり、相場の動きが激しい時はバンドの幅が広がります。
バンドの幅が狭くなってきたところで値動きに注目し、終値が±2σをはみ出したら、素直にトレンドに追随しエントリーします。
なお、バンドの幅が狭い時期が長いほど、その後にブレークした際の値動きが大きくなるといわれています。
順張り型のボラティリティブレイクアウトでは、株価が±2σを終値で突き抜けた時、つまり異常値が発生したところで飛び乗ることになりますので、これまでの解説とは少し異なるように感じるかもしれません。
しかし、あくまでも判断のタイミングとなるのは、ボリンジャーバンドの幅が収縮し狭くなっているところです。
このような局面で価格が±2σを突き抜けたということは、ここから相場に勢いがつきバンド幅が広がっていくことは想定されるわけです。
ボラティリティブレイクアウトの例になりますが、バンド収束をプラス2σを抜けたところからバンドの幅が広がり株価はプラス2σラインに沿って上昇を続けていることがわかります。
決済のタイミングは価格がプラス2σ終値で下回ったところが、バンドが収束し始めたタイミングになります。
トレンド発生中の押し目を狙うバンドウォークの活用
前述したボラティリティ・ブレイクアウトは、相場の転換点を素早くとらえ、上昇や下降トレンドに乗っていく投資手法でした。
このトレンドが継続していくと、価格は移動平均線と±2σラインあるいは±1σラインとプラスマイナス2シグマラインの間で上下動を繰り返しながらトレンド方向へと動いていきます。
±2σのラインに沿ってローソク足が並ぶ状態を「バンドウォーク」と呼びます。
このバンドウォークが現れた場合は、一時的な押し目を狙ってエントリーします。
バンドウォーク中の価格の値動きです。
ボリンジャーバンドの幅が狭くない価格が終値+2σを突き抜けて上昇トレンドがスタートしました。
+2σのラインに沿ってローソク足が並ぶバンドウォークが発生し、上昇トレンドが継続しています。
その上昇過程で価格が一時的に下がり、中心線である移動平均線にタッチしました。
ここが売りのポイントです。
レンジ相場では行き過ぎた上昇や下落を狙って逆張り
最後にボリンジャーバンドのレンジ相場での逆張りをご紹介します。
おさらいすると、価格がバンド内におさまる確率は以下の通りです。
ボリンジャーバンドの±2σ2の範囲に収まる確率95.4%
ボリンジャーバンドの±3σの範囲治る確率99.7%
±2σを突破することは、非常にレアケースで異常事態です。
このタイミングを捉えて逆張りでエントリーし、価格が正常値に戻るのを待つわけです。
見た目にも非常にわかりやすい逆張り手法ですが、注意したいのは「必ず株価の持ち合いが続いているレンジ相場で活用する」ということです。
ボラティリティブレイクアウトやバンドウォークで解説したように、価格の方向性トレンドが明確な局面では±2σを突き抜けるケースが珍しくないからです。
確率99.7%の±3σまで表示すれば確度が高まる
レンジ相場時の逆張り投資として活用する場合には、±1σから±2σを、おのおの下値支持線サポートラインや上に抵抗線レジスタンスラインと考え価格が-1σから-2σまで下がったところが買いポイント、+1σから+2σまで上がったところが売りポイントと判断します。
テクニカル分析のツールなどでは±2σまでが表示が一般的ですが確率99.7%の±3σまで表示して±3σ到達で逆張りすればさらに確度は高くなります。
もちろん±3σの出現率は低いのでなかなか売買のサインは出現しません。
-2σで打診買いを入れ、さらに株価が下がり-3σにタッチしたところでナンピン買いを決行するという考え方もあります。
逆張りの手法の参考例です
ボリンジャーバンドが収縮し、保ち合い相場に入りました。
そして下値抵抗線として機能していた-2σにタッチしたので売りと判断します。
その後、価格は上昇に転じ、今度は上値抵抗線として機能していた+2σをタッチしたので、ここで利益確定の決済売りとなります。
利益を確定させると同時に、この決済タイミングは信用取引による「空売り」信用売りのチャンスでもあります。
空売りは価格の下落で収益を狙う投資手法です。
このように、レンジ相場では買いと売りのポジションを交互に持つことで、往復で利益を狙うこともできます。
発案者自身が逆張りでの活用を否定している
ちなみに、ボリンジャーバンドは米国人のジョン・ボリンジャー氏が考案したテクニカル分析です。
ボリンジャー氏は、自身が発案したボリンジャーバンドの活用について、逆張りでは使うべきではないと言っています。
逆張りでの使い方は、上値抵抗線や下値支持線となる±2σへのタッチと、見た目にも単純ですが、時としてだましも多く現れるからです。
レンジ相場での活用に徹していても、持ち合い状況から相場が上下に大きく変動することも十分に考えられます。
株やFX、またボラティリティ(価格変動率)の高い暗号資産のビットコインなどは、時として潔い撤退も大切です。
一度に大金をゲットしようとするのではなく、相場と長く付き合うことで、長期的な資産運用を心がけたいものです。
まとめ
ボリンジャーバンドは世界で大人気のテクニカル指標です。
トレンドの発生と、方向性が視覚的に捉えられることがボリンジャーバンドの強みですが、なぜそうなるのかを理解すると、よりトレードの確度が上がってきます。
バンド幅は20日単純移動平均線を中心に、±1σ、±2σと等間隔で並んでいます。
基本的にボリンジャーバンドは順張りの指標として使っていくように開発者のボリンジャー氏は伝えています。
みなさんもボリンジャーバンドの意味を理解して、トレード精度を上げていってください。
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